茶道 表千家 八角社中

令和7年度活動報告

お正月の茶席で床の間に結び柳が掛けられているのを見ると、ああ、新しい年が始まったのだと、自然と気持ちがあらたまります。静かな空間の中で、しなやかな柳の枝が輪に結ばれている姿には、派手さはありませんが、不思議と心を落ち着かせる力があります。
私にとって結び柳は「今年も一年無事で過ごせますように」と願う気持ちをそっと託す、お正月ならではのしつらえです。
柳は古くから日本人の暮らしに寄り添ってきた木で、しなやかで折れにくい性質から、生命力や再生の象徴とされてきました。寒さの厳しい冬の中にあっても春を待つ力を内に秘めている姿は、慎ましくも強い生命の在り方を私たちに教えてくれているようです。そうした柳の枝を結ぶ「結び柳」には、縁を結ぶ、そして一年の始まりと終わりを無事につなぐという意味が込められているといわれています。
結び柳の由来には諸説ありますが、江戸時代にはすでに正月のしつらえとして用いられていたとされ、武家や町人の間でも広く親しまれていたようです。柳は神事にも用いられることが多く、神と人とを結ぶ依代としての意味合いもあったと伝えられています。枝を輪にして結ぶ形は円満や調和を象徴し、ほどけない結びには「災いが解けませんように」という厄除けの願いも込められてきました。
また、床の間に掛けられる結び柳には、緑色のものと茶色のものがあり、その違いにも趣があります。緑の柳は、若々しい枝の色を生かしたもので、生命の息吹や新たな始まりを象徴します。冬の最中にあっても瑞々しさを感じさせ、これから芽吹く一年への希望を表しているようです。一方、茶色の柳は、乾燥させた枝や落ち着いた色合いのものが用いられ、素朴で枯淡な趣を湛えています。派手さを抑え、静けさの中に時間の積み重ねを感じさせるその姿は、無事に過ぎ去った一年への感謝や穏やかな日常を尊ぶ心を映しているように思われます。このように、緑の結び柳は「これから始まる一年」を茶色の結び柳は「積み重ねてきた日々」を象徴しているともいえるでしょう。どちらが良い悪いではなく、その結び柳に込められた心や願いによって選ばれている点に、日本文化の奥深さを感じます。
毎年、お正月に結び柳を目にするたび、特別なことは望まず、ただ日々を穏やかに重ねていけますようにと願います。今年も一年無事で過ごせますように。

活動概要

稽古日    水・木・土 午後から 月3回
活動場所①  自宅 大網白里市大竹

活動場所②  東金市中央公民館 婦人の間(10時~12時)

稽古日    第1・第3金曜日 午前 (教室)
       第2・第4金曜日 午前  (同好会)